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アスベストが使われている不動産は売れる?トラブルなく売却を終える方法

所有している不動産の築年数が古い場合、アスベストが使われている可能性があります。
アスベストは、戦後の高度成長期に幅広く使われた耐熱性や防音性、絶縁性などの多機能な鉱物のことで、建物においては、屋根や壁、内装などに吹き付けアスベスト、アスベスト含有保温材・含有建築材料等で使われていましたが、吸い込むと発がんする可能性があることが確認され、2006年以降は全面的に使用が禁止されています。
しかし、現存する建物でも、禁止になる以前に建てられたものだとアスベストは使用されたまま残されている可能性があり、アスベストが使われている場合は、リフォームや解体などをする際に除去、封じ込み、囲い込みといった工法を活用する必要があります。
アスベストが使用されている不動産も売却は可能ですが、余計なトラブルを作らないためには重要事項説明書の記載やアスベストの使用調査などが大事になってきます。
ここでは、アスベストが使用されている可能性がある不動産を売却する方法について解説します。

2006年以前の建物はアスベストが使用されているかも

アスベストは、1887年頃から耐熱性、防音性、絶縁性の高さから多くの住宅に使用されていた天然の鉱物で、高度成長期であった1960年代、1970年代には多くの戸建やマンションが建設されましたが、その当時のほとんどの建物にアスベストは使われていました。
建物に使用されているアスベストには吹き付けアスベスト、アスベスト含有保温材・含有建築材料等があり、屋根や外壁、内装などに使用されていました。

1975年にアスベストを吸い込むと肺線維症(じん肺)になる可能性があることがわかり、労働安全衛生法により含有率5%以上のアスベストの吹き付けは禁止されましたが、その時点で全面的な使用禁止とはならず、その後も1987年、1995年と徐々にアスベストの使用は制限されていきました。

そして、2005年に起こったクボタショックによって、肺がんなどを引き起こして死亡する可能性があることが一般的にも認知され、2006年以降はアスベストの含有率が0.1%越えるアスベスト含有建材の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。

以上のことから、2006年以降の建物にアスベストは使用されていませんが、それ以前の建物の場合は、アスベストが使用されている可能性があります。

アスベスト調査の義務化

2023年10月以降、建築物の解体や改修工事の際にアスベストが使用されているかどうかの事前調査を行うことが義務付けられました。これらは原則、すべての建築物において実際が義務付けられています。

アスベストが含まれている可能性がある不動産でも売却可能

アスベストが含まれる可能性がある建物も売却可能です。宅地建物取引業法においては、不動産売却の際に売主がアスベストの除去、封じ込み、囲い込みをすることや、アスベスト使われているか否かを把握していることは必須ではありません。

アスベストの使用調査をしている場合は買主に調査内容の説明が必要ですが、調査していない場合は、調査していない旨を記入するだけで問題ありません。ただし、法律上はそのようになっていても、アスベスト使用の有無がわからない不動産は買主にとっては買いづらいです。

なぜなら、古い不動産は買主が購入後にリフォームをするケースも多いですが、アスベストが使用されていることが発覚するとアスベストが飛散しないよう工事をする必要がありますし、アスベストの飛散を防ぐ工事は通常の工事よりも多額の費用がかかるため、買主にとってはリスクが大きい買い物になるからです。

アスベスト使用の有無がわからない不動産を売却する場合

アスベスト使用の有無がわからない場合は、買主から工事に掛かる費用程度の値下げを交渉される可能性が高いです。また、売却しようとしている不動産が賃貸物件の場合は注意が必要です。
賃貸物件で入居者に健康上の問題があった場合、民法上の「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任(土地工作物責任)」によって損害賠償を請求されるケースもあります。
なお、国土交通省のホームページでは、賃貸物件については不動産取引を円滑に行うためにもアスベストの調査をすることが推奨されています。

売主がやっておきたいアスベスト対策


アスベストが含まれる不動産売却をする際には、売主としてはできる対策は取っておくに越したことはありません。ここでは、アスベストが含まれる不動産を売却する際に売主が取れる対策について解説します。

重要事項説明書にアスベストの内容を入れてもらう

大手不動産会社であれば、2006年以前に建築された物件については、アスベストが使用されている可能性と使用されていることが分かった場合に対策工事の費用がかかる旨の文言を必ず記載して説明してくれます。

しかし、個人経営の不動産会社の場合は、そういった文言を入れていないケースも多いです。売却後にアスベストが使用されていることが分かり、工事に多額の費用がかかる場合、買主から工事にかかる費用を請求される可能性もあります。
売却後にリスクを回避するためにも、重要事項説明書にアスベストについての文言を記入してもらうようにしましょう。

アスベストの使用調査を行う

アスベストが使用をはっきりさせたい場合は、専門の会社にアスベストの使用調査を行ってもらうのも一つの方法です。アスベストの使用調査は義務付けられていませんが、調査をしていることで買主に安心感を与えることができますし、石綿が使われていないことが分かれば、物件の価値も上がります。

調査結果が分かっている場合は、売却の際に調査機関名、調査の範囲、調査年月日、石綿の使用の有無と使用箇所について説明が必要です。マンションの場合は、管理組合などがマンション全体で実施しているケースもあるので、アスベストの使用調査を行ったか管理組合、管理会社などに確認しましょう。

使用調査や除去の費用が気になるなら買取がおすすめ

使用調査の手間や除去の費用負担、買主との余計なトラブルを避けたいという方は、所有する不動産を不動産会社や買取再販業者に買い取ってもらう方法もあります。

アスベストが使用されている不動産の場合、仲介だとアスベストがネックとなって売れるまでに時間がかかる可能性がありますが、買取であれば不動産会社が提示した査定金額がそのまま売買価格となるのですぐに売買契約ができます。

また、仲介の場合は、買主が一般の人になるケースが多く、引渡し後に建物に不備があった場合は契約不適合責任を負う義務があり、指摘された不備については売主が修補する必要があります。その点、買取の場合は契約不適合責任を免責にしてくれるケースが多いです。

契約不適合責任を免責にしてもらえば、引渡し後に買主から費用を請求されることはありません。ただし、買取は相場価格よりも2割〜3割程度安くなります。

価格が安いことはデメリットのように感じますが、売却後に不具合が発見されて支払いややり取りが発生する可能性もあり、買取でも仲介でも売主の経済的利益はあまり変わらないケースも多いです。
むしろ、買取によってその後の支払いややり取りがなくなるメリットのほうが大きいでしょう。

まとめ

売却したい不動産が2006年以前に建てられた建物の場合、アスベストが使われている可能性があります。
アスベストが使われている不動産を売却することは可能で、売却前の工事や調査は必須ではありませんが、アスベストが使われている可能性がある不動産は買主から敬遠されることや減額交渉されるケースが多いです。

アスベストが使われている不動産を売却する際は、重要事項説明書にアスベストの説明を明記してもらう、アスベストの使用調査を行うといった対処法を取り、買主との間でトラブルが起こらないようにしましょう。

また、売却後のトラブルなどを防ぐには不動産会社や買取再販業者に買い取ってもらうほうが良い可能性があります。所有する不動産の売却をトラブルなく終えるために、築年数が古い建物の売却は不動産会社に相談しながら進めることをおすすめいたします。

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