中古住宅のリフォーム費用はいくらかかる?実施の流れや補助金などを紹介
新築住宅の価格は年々上昇しており、中古住宅を安く購入して自分好みにリフォームをして住むという人が増えています。安く購入でき、自分好みの間取りに大きく変えられるのが中古住宅の醍醐味です。実際のリフォームにはどのくらいの費用が必要なのか、リフォーム費用を抑える方法、補助金制度が活用できるかなど、リフォームを行う際に注意すべきポイントについて解説します。
中古住宅を購入してリフォームをする場合のメリット・デメリット
まずはじめに、中古住宅をリフォームする主要なメリット・デメリットを挙げてみます。
メリット
新築よりも安い
不動産データサービス会社である東京カンテイの調べによると、2020年の首都圏の新築マンションの平均価格は6,055万円、中古価格は3,487万円です(2021年1月28日付のプレスリリースを参照。URL: https://www.kantei.ne.jp/report/106hakusyo-syutoM.pdf)。およそ2,500万円の差があります。1,000万円程度かけてフルリフォームしても、新築の7割程度の費用で済むことになります。
多くの物件から選ぶことができる
新築住宅は数に限りがあるので、条件にぴったり合う物件を選ぶことは難しいですが、中古住宅の場合は新築と比べて多くの物件があるため、比較検討して購入することができます。
事前に周辺の環境や建物の状況を確認できる
新築住宅の場合は、住んでみないと分からないことが多いですが、中古住宅の場合は、周辺に何があるのか、建物の状況はどうかなどは事前に分かります。住んでいる人の話を聞いたり、自分で周辺を歩くなどしたりして確認できます。
デメリット
建物本体の耐震性・耐久性に不安がある
中古住宅の場合、築年数が古ければ古いほど建物本体の耐震性について注意する必要があります。内装だけきれいにできるとしても、やはり地震に対する不安は否めません。1981年6月以前に建てられた物件は旧耐震基準で建てられており、現在の耐震基準を満たしていないケースも多いです。耐震基準を満たしていない場合は、追加の耐震工事が必要になることもあります。
また、木造戸建ての場合は、築20年を越えるとシロアリの害や給水管の腐食などが進んでいるケースもあります。
リフォームが終わるまで住めない
中古住宅は、売買契約をしても引き渡しが終わるまでリフォームを始めることができません。リフォームの内容によっては1ヵ月以上住めないケースもあるので、引っ越しなどを計画的に行う必要があります。
リフォームローンの金利が高い
新築住宅であれば、金利の安い住宅ローンですべて借入することができます。中古住宅のリフォーム費用については、住宅ローンと合算して借入できるケースもありますが、別途リフォームローンだけを借りるとなると、住宅ローンより高い金利になることが多いです。
中古住宅のリフォームを行う際の費用の相場
中古住宅のリフォーム相場について、マンションと戸建てに分けて紹介します。あくまで標準的な設備の価格をもとに記載しています。グレードの高い素材や設備を入れる場合、さらに価格はアップします。
中古マンションの場合
リフォーム費用は、部屋の広さ、築年数、リフォームを行う範囲によって異なります。平均的なファミリーマンション、床面積70㎡程度で試算すると次のようになります。
築10年以下
設備等の故障もほとんどなく、壁紙と床の張替、ハウスクリーニング程度となるので、相場は100万円程度です。
築20年以下
設備の状態によって大きく異なりますが、ガス給湯器や水回りの交換程度であれば、相場は300万円程度となります。
築30年以下
基本的に水回りを含めたすべての設備交換を行う必要があり、相場は500万円程度です。
築40年以上
室内状況がひどくスケルトン(壁、床、設備などすべて外して入れ替える、間取り変更を行う)にする場合は、相場は800〜1,000万円程度になります。
戸建ての場合
基本的にはマンションと同じで、物件の大きさ、築年数、リフォームを行う範囲によって費用は変わります。一般的な2階建て・床面積80〜100㎡で試算すると次のようになります。
築10〜20年
相場は100〜200万円、築20年を越えると屋根や壁の防水工事・配管の交換なども必要になるため、相場は500万円程度になります。
築30年を越えると
外観、室内すべてリフォームを行う必要があり、総額で800〜1,000万円程度必要です。
中古住宅の場所別リフォームにおける費用の相場
リフォームを進めるに当たっては、水回り、内装、外装、リビングなど、場所別の費用についても細かくチェックしていく必要があります。場所別のリフォーム費用についてはおよそ次の通りです。
マンション・戸建て共通
水回り
- キッチン…50〜100万円(アイランド型の場合は150万円以上)
- 浴室…80〜120万円
- トイレ…10〜30万円
- 洗面台…8〜25万円
水回りは、毎日使うのでできるだけ良いものを選びたい場所です。選ぶメーカーやグレードによって価格は大きく異なります。
内装(平均的なファミリーマンション・床面積70㎡程度で試算)
- 壁紙、クロス…10〜20万円
- 床材 フローリング…30〜50万円 クッションフロア…10〜30万円 フロアタイル…20〜40万円
- リビング…50〜150万円
壁紙や床材は、素材によって価格が大きく異なるため、選ぶものによっては高額になるケースもあります。安くても柄やプリントなどデザインの良いものも多いので、上手に選んで費用を抑えましょう。
戸建ての場合
外装
- 外壁塗装工事など…50〜150万円
マンションとは異なり、戸建ての場合は外壁などにも費用がかかります。
中古住宅のリフォーム費用を抑えるためのポイント
中古住宅のリフォーム費用を抑えるためには、物件選びやリフォームの方法、会社の選定、DIYの活用など工夫できるポイントがいくつかあります。ポイントを押さえて、効率よくリフォームを行いましょう。
物件の選び方
一番大事なのは、やはり物件選びです。物件価格とリフォーム費用の合計でいくらかかるかをきちんと計算した上で物件を購入する必要があります。たとえ安く購入できても、後から追加のリフォームが見つかり大きく予算を超えてしまうと購入後大変苦労します。できるだけリフォームする場所の少ない物件を選べば、費用を抑えることができます。
リフォームの方法
できるだけ出費を抑えるには、リフォームする場所を必要なところだけに絞ればいいですが、必要な場所だけにすると壁紙や床の色が他の部屋と異なり、全体の統一感を損なうといったことが起こります。全体の統一は難しくても、部屋ごとにテーマを決めて統一すれば費用はかけなくても満足度は高いでしょう。スケルトンにするなど全体をリフォームする場合は、ほぼすべてを入れ替えることになるためどうしても費用はかさみます。できるだけ価格交渉を行って、トータルの金額を抑えるようにしましょう。
リフォーム会社の選び方
リフォーム会社を選ぶ際には、比較をするためにも2〜3社の見積もりを取るようにしましょう。複数社の見積もりを取ることで相場を把握でき、価格交渉もしやすくなるためリフォーム費用を抑えることにもつながります。
また、物件全体をリフォームする場合は、場所ごとに異なるリフォーム会社に依頼するより、全体を1社に任せてしまう方が値引き交渉もしやすく、結果としてリフォーム費用を抑えることができます。
会社によっては、安い見積もりを最初に出して、工事に入ってから追加工事を請求してくるケースもあるので注意が必要です。依頼する前に、リフォーム会社のホームページや口コミなど必ずチェックするようにしましょう。
DIYの活用
DIYとは、Do It Yourself の略で、専門家でない素人が何かを自分で作ったり、修繕したりすることを言います。
水回りの交換など大掛かりなリフォームについては難しいかもしれませんが、壁紙や床の張替えについては、DIYでリフォーム費用を抑えることができます。
最近では、DIYの方法についての動画が You Tube などで多数紹介されています。初心者でも簡単にできるので、リフォーム費用を抑えたいという人は挑戦する価値があるでしょう。
中古住宅のリフォームで使える、便利な補助金制度とは?
中古住宅をリフォームする場合、条件を満たすと利用できる補助金制度や税制優遇制度があります。
補助金制度
国や自治体の補助金制度
国や各自治体が設定する基準を満たすと補助金の交付を受けることができます。補助金制度の内容については国および自治体によって異なるので、ホームページで対象となる工事や期間などを調べる必要があります。
例えば、東京23区では、耐震基準を満たしていない物件の耐震リフォームをした場合、「リフォーム耐震助成金」が交付されます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
中古住宅の長寿命化や3世代同居、良好なマンション管理対応工事といった長期優良住宅化を行うリフォームをすると、補助対象の費用の3分の1を負担してもらえます。工事の内容によって補助費の上限が設定されているので、工事を行う前に必ず確認してください。
グリーン住宅ポイント制度
高い省エネ性能を持つ住宅のリフォームについては、追加工事や商品に変えることができる「グリーン住宅ポイント」が支給されます。若者・子育て世帯は、その他の世帯に比べてポイントの上限が優遇されています。積極的に活用しましょう。
税制優遇
所得税の控除
耐震、省エネ、バリアフリーなど要件を満たすリフォームを行った場合は、所得税の控除を受けることができます。
所得税の控除には、リフォーム費用の一部を減税してくれる「投資型減税」、償却期間5年以上のリフォームに適用される「ローン型減税」、償却期間10年以上のリフォームに適用される「住宅ローン型減税」があります。
それぞれ、
- 投資型減税:控除期間は1年、最大控除額は条件によって20〜50万円
- ローン型減税:控除期間は最長5年、最大控除額は62.5万円
- 住宅ローン減税は:控除期間は最長13年、最大控除額は480万円
となっています。居住年月やリフォーム方法によっても適用となるものは異なるので、リフォームする際にはしっかり調べましょう。
ポイントを押さえて中古住宅を上手に購入しよう
中古住宅を購入してリフォームする最大のメリットは、新築よりも低価格で自分好みの住まいを実現できることです。新築よりも選択肢が多い、フルリフォームを行えばより理想の間取りや設備に変更できるなど、他にも利点があります。建物本体は古いため耐震性・耐久性の面で不安はありますが、事前に調査することである程度リスクは抑えられます。今回ご紹介したポイントをしっかりと押さえて、お得な中古住宅を見つけてリフォームしてください。