不動産売買の前に知っておきたいこと~登記って何?~
そもそも登記ってどういうこと?
自動車を持っている方は、車検証を持っていますよね。車検証には、その車の型式や大きさ、重さ、そして所有者も記載されています。
それと同じように、土地のある場所や用途、広さや所有者等の履歴を記載・記録することを登記と言います。記録するための帳簿のことを以前は「登記簿」と言いましたが、今はコンピュータ化されていて「登記記録」となりました。
登記簿は「地番」「家屋番号」ごとに編成され管理されています。これは住所を表す「住居表示」とは異なるので、登記記録を請求する時に注意が必要です。また、付属書類(記録)として土地の並び方がわかる「公図」、建物が土地のどの位置に建っているかがわかる「建物図面」、土地を測量して形と求積計算が記録される「土地測量図」があります。土地測量図には境界標がどこに打たれているかも記録されています。
登記をすることによって、利益が対立する当事者間で先に登記をした方が後の人に優位を主張することができる「対抗要件」を備えることができます。例えばAという名義人がBとCの二人に同時に売却した場合、先に登記をした人が優位に権利を主張できます。所有権、抵当権という異なる権利についても同じことが言えます。自分の権利を守るためには、早く登記を行う必要があります。
登記の申請は本人が行います。一般の人にとっては慣れない作業のため、時間や手間をかけたくないときには司法書士など専門家に委任することができます。
登記事項はどのように保管されるの?
登記記録は法務局が扱っており、コンピュータにより管理されています。紙の簿冊時代の登記簿や、取り壊し等によって閉鎖された建物にあった登記簿も、一定期間保管されることになっています。
不動産登記の種類
登記記録は大きく分けて三つの枠で構成されています。
一つ目は、その不動産がある場所や広さ、用途を記録する欄で、「表題部」と言います。
登記関連の資格者として「土地家屋調査士」がいます。この土地家屋調査士が土地や建物の測量を行い、法務局に本人の代理人として申請を行います。
二つ目は、その不動産の所有者が誰かを記録する欄で、「甲区」と言います。所有者が売買や相続など、いつ、どのような理由で取得したかが記録されています。また、所有権を制限する差し押さえ等の記録も甲区に記載されます。
三つ目は、その不動産がどのような担保※の目的になっているかを記録する欄で、「乙区」と言います。乙区欄には抵当権や根抵当権等の担保のほかに、借地権や用益権等の使用収益に関する権利事項が記録されています。(四つ目の枠として、一緒に担保に入っている不動産を目録にした「共同担保目録」を請求により入手することが可能です。)
※「担保」とは、住宅を買うときに銀行等の金融機関で資金を借り入れる場合、万が一返済が滞った時に金融機関がその不動産を売却し、借入金の返済にあてるために抵当権等の設定をすることです。
登記って誰でも見れるの?
登記記録は公示することを目的として作られているため、利害関係の有無にかかわらず誰でも見ることができます。
法務局、支局・出張所、市区町村役場等に設置されている登記記録提供のためのサービスセンターで、登記事項証明書の交付が受けられます。直接窓口に行かなくても、郵送あるいはインターネットを利用して請求することも可能です。
また、証明書は交付されませんが、登記の記録内容だけわかればよい場合には「登記情報提供サービス」(https://www1.touki.or.jp/)により登記記録の内容を確認することができます。いずれも手数料を支払う必要があります。「登記簿」という紙の簿冊の時代には登記簿の「閲覧」が可能でしたが、現在この制度はなくなりました。
不動産は非常に大きな買い物であるため、買いたいと思っている人がその不動産の権利関係がどのようになっているかを知り、安全に取引に参加できるようにする目的で、登記記録は誰でもを取得できるようになっています。
監修:齋藤祥文
資格:不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士