不動産仲介とは?売却を仲介業者に依頼するメリット
私たちが賃貸物件を貸すとき・借りるとき、自宅を売るとき・買うときには、不動産会社に依頼することがほとんどです。仲介業者は、賃貸物件の場合は貸主と借主、不動産売買の場合は売主と買主の間に入り、交渉や契約を取り持ってくれます。今回は、不動産仲介業者の種類や役割、仲介を依頼するメリット・デメリットについて解説します。
不動産仲介とは?
不動産仲介は、賃貸であれば貸主と借主、売買であれば売主と買主を取り持つ仕事で、交渉や契約の際に間に入ってやりとりを円滑に進めてくれます。
不動産仲介業を行うには、国土交通省や都道府県知事から宅地建物取引業の免許を取得する必要があります。開業にあたっては事務所に専任の宅地建物取引士を置く必要があり、営業マンなど業務に従事する人数の5人に1人の割合で専任の宅地建物取引士が必要となっています。このように、不動産仲介業者は不動産取引における専門家なので、安心して取引を任せられます。
不動産仲介を依頼するメリット
不動産仲介を依頼するメリットは、取引について不動産仲介業者にすべて任せられることです。貸主や売主が自力で借主や買主を探すのは難しく、借主や買主も不動産のことを全く知らない場合が多いためです。専門家に任せることで、トラブルなく取引をスムーズに行えるので、時間短縮にもつながります。
他にも、仲介業務に付随して発生する賃貸や売買物件の広告・資料や契約書の作成など、契約手続きのサポート業務も不動産仲介の仕事です。契約書の作成や契約には専門的な知識も必要となり、こういった業務も含めた賃貸、売買に関する一切の手続きをサポートしてくれるのも不動産仲介に依頼する大きなメリットといえます。
不動産仲介を依頼するデメリット
不動産仲介を依頼するデメリットは、やはり仲介手数料が発生することです。賃貸の仲介であれば、貸主と借主はそれぞれが賃料の0.5ヵ月分、売買の仲介であれば、売主と買主それぞれが売却価格の3%+6万円(別途消費税)を仲介手数料として支払う必要があります。仲介業務をしてもらうので手数料を支払うのは当然ですが、金銭的な負担はかかります。
不動産仲介の種類と流れ
不動産仲介は大きく2つ、賃貸と売買に分けられます。それぞれについてご紹介します。
賃貸
まずは賃貸の不動産仲介について解説します。
所有している不動産を賃貸物件として貸し出すとき、不動産仲介業者に借り手を見つけてもらう流れは次の通りです。まず、不動産会社に仲介を依頼します。賃料などを査定してもらい媒介契約を結ぶと、賃貸の借り手を募集してくれます。このとき、広告の作成や来店客への物件紹介、内覧の対応など全て不動産仲介業者が担当してくれます。内覧に来た人が部屋を気に入り申し込みを行い、売主が価格などを了承すると、賃貸借契約を結びます。
ちなみに、この場合は貸主に借り手を、借主に物件をそれぞれ仲介することになるので、不動産会社は両方から手数料を受け取ります。これが両手仲介(両手取引)です。対して、貸主と買主をそれぞれが別の不動産仲介が仲介するのが片手仲介(片手取引)です。
不動産会社の仲介業はあくまでも借主を探し契約をサポートしてくれるだけですが、家賃の集金業務・入退去の対応・募集業務・クレーム対応など賃貸業務の全てを任せたい場合には、もちろん費用はかかってきますが、管理会社に依頼するといいでしょう。
売買
次は売買の仲介について解説します。
所有している不動産を売却するとき、不動産会社に買い手を見つけてもらうには、まず、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約は、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類です。3種類の媒介契約にはそれぞれ特徴があります。
一般媒介契約
一般媒介契約の特徴は、複数の不動産会社と契約できることです。他にも自己発見取引(不動産会社を通さずに自己の知人などから買主を見つけて売却すること)ができる・契約の解除がしやすいといったメリットがあります。しかし、複数社と契約できるからといってすぐに売却できるわけではなく、他の不動産会社が先に契約してしまう可能性があることから不動産会社は消極的になるケースが多いです。
専任媒介契約
専任媒介契約の特徴は、媒介契約できる不動産会社は1社のみであることです(自己発見取引は可能です)。一般媒介と比べると不動産会社も他の不動産会社に決められることがない分、販売活動に積極的になってくれるので成約もしやすくなります。
ただし、不動産会社によっては自社で買主を探して両手取引で手数料を双方から獲得するために囲い込みをするケースもあるので注意が必要です。囲い込みをする不動産会社は、悪質な場合、他社に情報を開示しない・虚偽の情報を流すなど自社のみで契約しようとします。他社に顧客がいるのに紹介してもらえないのは、売主にとっては機会損失になります。
専任媒介を結ぶ場合は、囲い込みの傾向がないか、不動産会社の口コミや評判をチェックしましょう。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は専任媒介契約とほとんど同じですが、自己発見取引が不可となり、より制約が厳しくなります。専属専任契約にこだわりがある場合以外は専任媒介がおすすめです。購入の場合は、基本的には物件を決めてから媒介契約を結ぶので一般媒介契約になります。
媒介契約後は、不動産会社が広告や物件紹介などの売却活動を行ってくれます。購入検討者からの申し込みが入り、諸条件がまとまれば、売買契約といった流れで進みます。
不動産を早く売却したい場合には「買取」がおすすめ
不動産会社が提示する査定金額は、およそ3ヵ月程度で売却できる価格に設定されています。そのため、すぐに現金化したい場合には、時間がかかる仲介では難しいかもしれません。
その場合は「買取」がおすすめです。買取は、不動産会社に直接不動産を購入してもらう方法で、査定金額がそのまま買取価格となります。買取価格に納得すれば売買契約から引渡しまで短期間で進めることができます。
また、買取の場合は、広告を出すなどの販売活動を行わないので売却しようとしていることを周囲に知られることもありません。ただし、売却価格が安くなってしまうというデメリットもあります。不動産会社は、買い取った不動産をリフォームしたり、新築に建て替えたり付加価値をつけて販売することを事業としているので、購入価格は相場価格の7~8割程度になります。
積極的に仲介を利用しよう
不動産仲介を利用すれば、不動産を貸す(借りる)相手や不動産を売る(買う)相手をスムーズに見つけられます。賃貸募集や販売活動などの広告や契約書の作成や契約の手続きなど、不動産仲介に関わる業務をすべて任せることができるので、手間がかかりません。
特に不動産取引は専門的な知識が必要なことも多いため、専門家に任せることで安心感が得られるのが、何よりもメリットです。