不動産買取とは?仲介との違いとメリット・デメリット
不動産の売却を考えたときに真っ先に思いつくのは、不動産会社に依頼して買い手を探してもらう「仲介」という方法だと思います。しかし、あまり知られていませんが不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」という方法もあります。
今回は、不動産買取の仕組みや仲介との違い、不動産買取のメリット・デメリットなどを解説します。不動産の売却を検討している方や売却方法に悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
不動産買取とは
不動産買取とは、売却したい土地や建物を不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。買取は、土地や建物の持ち主が買取を行っている不動産会社に査定依頼を行い、提示された価格に納得した場合は、売買契約を結び、土地や建物と引き換えに代金を受け取る…といった流れで進みます。
不動産買取会社は、買い取った物件にリフォームやリノベーションを施して、再販売します。その費用等が差し引かれるため、買取価格は仲介による価格よりも安く、相場の6~7割ほどになります。
不動産の買取と仲介の違い
仲介と比べて買取はシンプルです。ここでは主に仲介について解説し、それと比較するかたちで両者の違いを説明します。
不動産仲介とは、不動産会社に売り手と買い手をつなぎ、間に入って売買の手続きをサポートしてもらう売却方法です。一般的な不動産仲介の流れは次のようになります。
査定依頼→媒介契約→販売活動→内覧→買付申し込み→売買契約締結→決済引き渡し
売主は、不動産仲介業者に査定を依頼し、価格に納得できれば媒介契約を結びます。
すると、不動産仲介業者は買い手を探すため、新聞やチラシ、インターネットを利用して販売活動を行います。必ずしもすぐに買い手がつくわけではありません。必要に応じて、価格の変更や条件の見直しを行う場合もあります。
買い手が見つかり売買契約が成立すると、売主は、仲介業者に仲介手数料を支払います。契約が成立しなかった場合は、仲介手数料が発生しません。仲介で不動産を売却し、引き渡すまでにかかる期間は、平均3~6ヵ月といわれています。一方、不動産買取は、前述の通り不動産会社が直接不動産を買い取ります。
不動産買取と仲介の違いをまとめると、次のようになります。
売却にかかる期間
不動産仲介では、買い手が見つからないと売却できないので、売却にかかる期間は長くなります。また、売りに出せば買い手が見つかるとは限らず、長期間売れない場合もあります。一方、買取は買い手を募集することがないので、条件さえ合えば不動産会社にスピーディーに売却できます。
仲介手数料の有無
不動産仲介では、売買契約が成立すると、売り手と買い手をつなぎ手続きをサポートした不動産会社に仲介手数料が発生します。仲介手数料には上限があり、最大で物件価格の3%+6万円+消費税です。買取では手数料は発生しません。
売却価格
不動産仲介では、市場価格で売却することができるので買取よりも高く売れる可能性があります。買取では、不動産会社がその後リフォームやリノベーションをして再販売するための仕入れ用として購入するので、どうしても価格は低く抑えられます。
契約不適合責任の有無
不動産仲介では、売却した不動産に不具合や問題があった場合に売主側が契約不適合責任を負います。
契約不適合責任とは、種類・品質・数量などに関して契約内容と適合しない不動産を売却した際に、売主が買主に対して負う責任のことです。
例えば、登記情報の地目(土地の用途)と契約書の地目が異なるケース、想定していない箇所から雨漏りするケースなどです。
(2020年4月に民法改正により「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更されました。
買主は、契約不適合責任に基づき、追完請求、代金減額請求、催告解除、無催告解除、損害賠償などを請求することができます)
買取の場合は直接不動産会社に売却するため、この責任を問われることはありません。
不動産買取のメリット
不動産仲介と比較したとき、不動産買取のメリットは次の通りです。前述した部分と一部重複しますが、重要なポイントなのでしっかり理解しましょう。
手続きが少ない
仲介のように媒介契約の手続きが不要で、売却手続きの手間も少なくなります。
仲介手数料がかからない
不動産買取は、仲介で売却する場合と違い、仲介手数料がかかりません。
内覧が不要
内覧の対応が不要になるため、購入希望者の内覧に向けて掃除や修繕のような準備を行う必要がありません。
早期の現金化が可能
即時買取の場合、不動産買取会社と売主の合意だけで早期に売却できる可能性があります。仲介のように買い手を探すための販売活動を行う必要もなく、短期間で現金化が実現できます。
周囲に知られずに売却ができる
売主と不動産買取会社が直接取引し、仲介のように一般市場で売却活動することがないので、周囲に売却の事実を知られることがありません。
契約不適合責任を負わない
不動産を売却後から一定期間に問題が発覚し、その内容が契約内容に適合していないと判断された場合は、売主は契約不適合責任を負いますが、買取では、買主が宅建業者であるため、契約不適合責任を負いません。
計画が立てやすい
仲介では、買い手が見つかるまである程度日数がかかるため、見通しが立ちません。買取では、不動産会社との交渉次第ですぐに売却ができるので、新居の購入や引っ越しなど売却後の計画が立てやすくなります。
不動産買取のデメリット
不動産買取のデメリットは次の通りです。
仲介より売却価格が低くなる
不動産会社は売主から買い取った物件をリフォームやリノベーションを施して再販売することで利益を出しているため、売却価格が仲介より、どうしても低くなる可能性があります。
築浅物件は損をしてしまう可能性がある
買取は売却価格が仲介の6~7割と低くなるのが一般的です。需要が高く比較的新しい築浅物件は、仲介でも買い手がつきやすいため、買取を選択すると損になることがあります。
不動産会社の選定で結果が変わる
買取を得意としない会社を選んでしまった場合は、査定価格に根拠がなく、買取の相場よりも安い金額で物件を手放すことになる可能性があります。
対象不動産が限られる
築年数が古く、リフォームやリノベーションが難しいほど老朽化した物件や再建築不可の物件などは、買取を断られるケースがあります。
また、売却したい物件が、不動産会社が定めた買取対象のエリア外にあるケースも対象外として断られる可能性があります。
買取保証をうまく活用しよう
不動産買取には「即時買取」と「買取保証」の2種類があります。「即時買取」は、売主と不動産会社との交渉のみで、不動産会社に即時に買い取ってもらう方法です。「買取保証」は、一定期間は通常の売却活動を行い、買い手がつかない場合はあらかじめ取り決めていた金額で不動産会社に買い取ってもらう方法です。
買取保証を利用すると、市場と同じくらいの相場で売却できる可能性もあり、買い手がつかない場合でも不動産買取会社とあらかじめ取り決めていた価格で買い取ってもらえるため、“売れない不安”が解消されます。また、住み替えを予定している場合に予算計画が立てやすいといったメリットもあります。
不動産買取会社によっては、再販売を行い利益が出た場合に売主に利益を還元する「利益還元制度」を導入している会社もあります。
売却を早く楽に済ませたい人は「買取」で
不動産買取は、簡易な手続きで早期に売却・現金化でき、仲介手数料や内覧が不要といったメリットがあります。一方で、仲介より査定価格が安い、対象物件が限られるなどのデメリットもあります。
ご自身の状況や希望に沿う方法は仲介か買取かをよく検討した上で売却しましょう。