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住まいの悩み

土地の名義変更手続きと費用

売買や相続などで土地の持ち主が変わった場合、トラブルを避けるためにも必ず行わなければならないのが土地の名義変更手続きです。
今回は、名義変更手続きの概要や注意点、また、土地の名義変更の手続きにあたってさまざまな費用が発生するので、費用項目や費用を抑える方法についてもご紹介します。

土地の名義変更とは

土地の名義変更とは、土地の所有者の名義を新たに変更することです。なぜ土地の名義変更が必要なのでしょうか。
土地を売買したとき、新しく土地の持ち主となった買主が自動的に土地の所有権を獲得できるというわけではありません。所有権の登記をして初めて、正式に所有権が得られ、第三者に「この土地の所有者は私です」と言えるようになるのです。
土地の名義変更の登記が行われていない場合、トラブルのもとになります。例えば、土地の売主が名義変更の登記がされていないことをいいことに、土地を第三者に売買してしまう可能性があります。これが二重売買です。
この場合、先に名義変更の登記を行った方が正式な所有者として認められます。つまり、もし第三者が先に名義変更の登記を行った場合、もともとの土地の買主は所有権を得られないのです。このようなトラブルを防ぐためにも、名義変更の登記は速やかに行う必要があります。
土地の名義変更の登記は、土地がある地域を管轄している法務局で受け付けています。登記手続きは、原則として土地の所有権を渡す人と受け取る人が共同で行いますが、実態は共同で行うことが難しいケースもあるため、買主が主体となって手続きを行うことが多いです。

土地の名義変更が発生するケース

土地の名義変更が必要になるケースは、次の4つです。

売買

土地の売買を行うと、当然ですが売主から買主へ所有権が移転します。先述のようなトラブルを防ぐために名義変更の登記を行います。

相続

土地の相続があった場合も、被相続人から相続人へ所有権の移転が発生します。相続は売買のケースと比べて権利関係が複雑になりがちなので、名義変更をせずに放置しておくと、現在の正式な土地の所有者が誰なのか分からなくなってしまう可能性があります。そのため、土地の相続があったときには速やかに名義変更の登記をしなければなりません。

贈与

土地の贈与があった場合も、もとの所有者から贈与される人へ所有権が移転します。二重の贈与を防ぐためにも、速やかに名義変更の登記を行うことが大切です。

財産分与

財産分与は、離婚の際に夫婦で築いた財産を分け合うことですが、土地も分与の対象となります。財産分与の結果、土地の所有者が変わる場合は、土地の名義変更の登記をしなければなりません。

名義変更の方法

土地の名義変更の方法は、自分で行うか、司法書士に依頼するかの大きく2通りあります。それぞれ異なるメリットやデメリットがあるため、自分に適した方を選びましょう。

名義変更を自分で行う

土地の名義変更を自分で行うメリットは、費用がかからないことです。司法書士に依頼すると高額な費用がかかるため、予算がない場合には自力で行うことになるでしょう。
ただし、名義変更は、非常に骨の折れる行為です。名義変更手続きは用意すべき書類が多く、手続きが煩雑です。さらに、漢字のミス(「渡辺」を「渡部」と書いてしまうなど)に気をつけ、一言一句間違えないように注意しなければならず、慣れていない一般人がミスなく手続きを終えるのは非常に困難です。
まずは自力で土地の名義変更に挑戦してみてもいいかもしれませんが、難しければ諦めて司法書士に依頼しましょう。いつまでも自力で手続きをすることにこだわっていると、一向に手続きが進まず、時間だけが過ぎていきます。

名義変更を司法書士に依頼する

司法書士に依頼するメリットは、とにかく楽で、速く、ミスが少ないことです。特に相続人が複数いる場合や、離婚相手との協議が必要なケースは手続きがより複雑になるため、司法書士に依頼するメリットは大きいです。
司法書士に依頼するデメリットは費用がかかることですが、自力で行う手間を考えると充分に価値はあります。そのため、多くの方が司法書士を利用して名義変更を行っています。

名義変更に必要な書類

土地の名義変更に必要な書類は、名義変更が発生した原因によって変わります。共通して必要な書類に加え、それぞれのケースで独自に必要になってくる書類を準備しましょう。

共通して必要な書類

まず、どの場合でも共通して必要になる書類は、次の通りです。

  • 登記申請書
  • 登記識別情報または登記済証 
  • 登記原因証明情報
  • 代理権限証書
  • 印鑑証明書
  • 住所証明書
  • 戸籍謄本

「売買」で必要な書類

土地の売買の際に必要となる書類は、次の通りです。

売主

  • 固定資産評価証明書
  • 委任状(売主が買主に委任する場合に必要)

買主

  • 住民票
  • 売買契約書

「相続」で必要な書類

土地の相続の際に必要となる書類は、次の通りです。

  • 遺言書・遺産分割協議書
  • 委任状
  • 固定資産評価証明書

「贈与」で必要な書類

土地の贈与の場合に必要となる書類は、次の通りです。

贈与者

  • 固定資産評価証明書

受贈者

  • 贈与契約書
  • 贈与証書

「財産分与」で必要な書類

財産分与による土地の名義変更の際に必要になる書類は、次の通りです。

元の名義人

  • 固定資産評価証明書

新名義人

  • 離婚協議書
  • 財産分与契約書

名義変更にかかる費用

土地の名義変更には、さまざまな費用がかかります。

登録免許税

登録免許税とは、登記手続きにかかる税金のことです。こちらは土地の名義変更の理由によって税率が異なります。

  • 相続の場合 土地の評価額×0.4%
  • 財産分与の場合 土地の評価額×2%
  • 贈与の場合 土地の評価額×2%
  • 売買の場合 土地の評価額×2%

ケースごとにかかる各種税金

売買には譲渡所得税、相続時には相続税、贈与時には贈与税がかかります。
譲渡所得税の税率は、不動産を所有していた年数によって異なります。相続税は特別な場合を除き、3,000万円+600万円×法定相続人の数 を超える部分に課税されます。贈与税は、特別な場合を除き110万円以上の贈与を受けたときに課税されます。

書類などの発行手数料

他にも、土地の名義変更の手続きに必要な書類を取得するのに費用がかかります。かかる費用は次の通りです。

  • 住民票  300円
  • 固定資産評価証明書 300円
  • 登記簿謄本(全部事項証明書) 600円
  • 印鑑証明書 300円
  • 戸籍の附票 300円

司法書士報酬

司法書士に土地の名義変更の手続きを依頼する場合は、報酬を支払う必要があります。報酬は、名義変更だけならば4~7万円、書類集めなども併せて依頼すれば10~15万円程度が相場です。

名義変更にかかる費用を抑えるには

土地の名義変更は、やり方によっては費用を抑えることも可能です。

相続税を抑える

相続で土地を取得する場合に課される相続税は、安く抑えることができます。
相続税を抑える方法は、土地の評価額を低くすることです。土地は更地の状態が一番評価が高いとされています。そのため、取得する土地が更地の場合は、建物を建築し、評価額を低くすることで、相続税を安くできます。

譲渡所得税を抑える

売買によって土地を手放す場合に課される譲渡所得税も節税できます。譲渡所得税は不動産の保有期間によって税率が大きく異なります。売却によって収益がある場合、その土地の保有期間が5年を超えていると「長期譲渡所得」となり、所得税率は15%・住民税率は5%です。一方、保有期間5年未満では所得税率が30%、住民税率が9%と高くなります。約2倍の差が出るため、なるべく5年以上保有してから土地を譲渡するのが望ましいです。

登録免許税を抑える

登録免許税は、税率は高くありませんが、土地の価値が高いと高額になるため無視できない存在です。通常、買主が負担しますが、登録免許税法3条に「登記等を受ける者が二人以上あるときは、これらの者は連帯して納付する義務を負う」との定めがあるように、売主側と折半できないか交渉してみるのも手です。

名義変更の注意点

土地の名義変更の際には、さまざまな注意点があります。

手続きには時間がかかる

手続きには時間がかかります。特にご自身で土地の名義変更の手続きを行う場合は、ミスが起こる可能性が高くなるため、なおさら時間がかかります。スケジュールには余裕を持ちましょう。

費用項目が多い

名義変更の原因によってかかる費用や税金が異なります。予想以上の出費に困ることがないよう事前にどのような費用がかかるのかを把握しておきましょう。

名義変更後も税金がかかる

土地を取得して名義変更を行った後も、土地を保有・維持するための税金がかかります。例えば、固定資産税や都市計画税などです。これらの費用のことも頭に入れて土地の取得をしましょう。

ミスの訂正が難しい

土地の名義変更の手続きは、一度申請が通ってしまうと訂正するのが難しいです。そのため、ミスがないよう慎重に行う必要があります。

手続きや費用は、ケースによって異なるので注意

自力でやろうとすると面倒で難しい土地の名義変更手続き。司法書士に依頼する場合も高額な費用がかかりますが、きちんと行わないとトラブルになる危険性もあります。土地の所有者が変わったら速やかに行いましょう。
必要書類や費用は名義変更が発生するケースによって異なるため、あらかじめ把握しておき、期間に余裕を持って手続きできるようにしましょう。

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